断熱等級とは?等級6・7の違いをやさしく解説【HEAT20 G1・G2・G3と奈良の目安】

「断熱等級7の家がいい」「これからは等級6が標準」——家づくりの情報を集めていると、こうした言葉をよく目にするようになりました。でも、「等級が1つ違うと、暮らしは実際どう変わるの?」「奈良で建てるなら、どのくらいの断熱を目指せばいいの?」と聞かれると、はっきり答えられる方は多くありません。断熱等級は2022年に上限が引き上げられたばかりで、情報が新しく入れ替わっている分野でもあります。
この記事では、国が定める「断熱等性能等級(断熱等級)」と、民間の研究会がつくった「HEAT20(G1・G2・G3)」という2つのモノサシの違いを、奈良の気候をもとにやさしく整理します。数値の暗記ではなく、「冬の朝、家の中が何℃くらいになるか」という暮らしの実感でご説明します。読み終わるころには、ご自身の家づくりでどの水準を目指せばよいか、判断の軸が持てるはずです。
断熱等級とは?——家の「熱の逃げにくさ」を表す国のモノサシ
断熱等級(正式名称:断熱等性能等級)とは、住宅の品質を評価する国の制度(品確法)で定められた、家の断熱性能を示すランクです。等級の数字が大きいほど、熱が逃げにくく高性能ということになります。
この等級のもとになっているのが、「家全体の熱の逃げやすさ(UA値:外皮平均熱貫流率)」という数値です。UA値は数字が小さいほど熱が逃げにくく、高断熱を意味します。むずかしく聞こえますが、暮らしの言葉に置きかえると「冬にあたためた空気が、どれだけ外へ逃げずに家の中にとどまるか」を表す数値だと考えてください。
2022年に「上限」が一気に引き上げられた
長いあいだ、断熱等級は「等級4」が最高ランクでした。しかし2022年、より高い断熱性能を評価するために等級5・等級6・等級7が新たに追加されました。つまり、かつての最高ランク(等級4)は、今では「国が定める最低限の省エネ基準」という位置づけに変わっています。ここが、少し前の情報と食い違いやすいポイントです。
「昔調べたときは等級4が最高だった」という記憶のままだと、今の基準を見誤ってしまいます。まずは「等級4はもう最低ライン、これからの家は等級5〜7で考える」と頭を切り替えておくのが大切です。
断熱等級4〜7の違い——数字より「冬の朝の室温」で考える
等級ごとのUA値だけを並べても、暮らしのイメージはわきません。そこで、奈良市などが該当する「6地域」を例に、各等級のUA値と、冬に期待できる室内の暖かさをセットでご紹介します(UA値の基準は6地域の場合。地域区分については後述します)。
- 断熱等級4(旧・最高ランク/今は最低基準):UA値 0.87。国の省エネ基準を満たすライン。暖房を切った冬の朝、室内の最低体感温度は概ね8℃前後まで下がることも。(出典: NotebookLM「楓工務店_新築」性能資料)
- 断熱等級5(ZEH基準):UA値 0.60。エネルギー収支ゼロを目指すZEH(ゼッチ)の必須ラインです。
- 断熱等級6(先進的な高断熱):UA値 0.46。暖房を切っても冬の室内が概ね13℃を下回りにくい水準。暖房で使うエネルギーを、旧省エネ基準の家より概ね半分(50%以上)に減らせるとされます。(出典: NotebookLM「楓工務店_新築」性能資料)
- 断熱等級7(現在の最高ランク):UA値 0.26。冬の室内が概ね15℃を下回りにくい、最高峰のスペックです。
ポイントは、等級が1つ上がるごとに「暖房を切ったあと、家がどこまで冷えにくいか」が変わる点です。等級4の家では朝起きると室内が8℃前後まで冷える一方、等級6の家なら概ね13℃、等級7なら概ね15℃を下回りにくい。この「約5〜7℃の差」が、冬の朝、布団から出るときのつらさや、脱衣所のヒヤッとする感覚を大きく左右します。
HEAT20(G1・G2・G3)とは?——「室温」で語るもうひとつの基準
断熱等級とよく一緒に登場するのが「HEAT20(ヒートにじゅう)」という言葉です。これは国の制度ではなく、「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」という民間団体が独自に定めた断熱基準です。(出典: NotebookLM「楓工務店_新築」性能資料)
断熱等級との一番の違いは、評価の「語り口」です。国の等級がUA値という数値を軸にするのに対し、HEAT20は「冬の室内が、最低でも何℃を下回らないか」という体感温度を軸にしています。今から建てる家が目指すべき暮らしの快適さを、住む人にいちばん分かりやすい「室温」で示そうとしているのが特徴です。
G1・G2・G3の3グレード
HEAT20には、上のグレードから G3・G2・G1 の3段階があります(6地域の場合の目安)。
- HEAT20 G1:UA値 0.56。冬の最低体感温度が概ね10℃以上。暖房で使うエネルギーを旧省エネ基準より概ね30%以上削減。(出典: NotebookLM「楓工務店_新築」性能資料)
- HEAT20 G2:UA値 0.46。冬の最低体感温度が概ね13℃以上。暖房エネルギーを概ね50%以上削減。(出典: NotebookLM「楓工務店_新築」性能資料)
- HEAT20 G3:UA値 0.26。冬の最低体感温度が概ね15℃以上。最高峰の断熱性能です。
HEAT20の基準を満たすと、住まいの快適性が上がるだけでなく、冬の急な温度差による健康リスク(ヒートショック)の軽減や、光熱費の節約にもつながるとされています。数値の高さそのものより、「安定した室温で、家族が健康に暮らせるか」を重視した考え方です。
断熱等級とHEAT20はどう対応する?——奈良の地域区分がカギ
ここで多くの方がつまずくのが、「断熱等級6とHEAT20 G2は同じなの?違うの?」という疑問です。答えは「お住まいの地域区分によって変わる」です。
日本は気候で1〜8地域に分かれている
国は全国を、冬の寒さの厳しさに応じて1〜8の「地域区分」に分けています。同じUA値の家でも、寒い地域ほど求められる断熱性能は高くなります。奈良県内には、主に次の2つの区分が混在しています。(出典: NotebookLM「楓工務店_新築」性能資料)
- 5地域(やや寒冷):生駒市、宇陀市、平群町など
- 6地域(標準的):奈良市、大和郡山市、橿原市など
ご自身の建築地が5地域か6地域かで、同じ「G2」でも必要なUA値が変わります。奈良は南北・東西で標高差が大きく、生駒の山手と奈良市街地では冬の底冷えの感覚も違うため、この区分は意外と大事です。
奈良市などの6地域では「等級6=G2」「等級7=G3」
奈良市・橿原市などが該当する6地域では、国の等級とHEAT20の基準値がぴたりと一致します。(出典: NotebookLM「楓工務店_新築」性能資料)
- 断熱等級6 = HEAT20 G2(ともにUA値 0.46)
- 断熱等級7 = HEAT20 G3(ともにUA値 0.26)
つまり、奈良市周辺で「断熱等級6の家です」と言えば、それは「HEAT20 G2の家」と同じ意味になります。
生駒市などの5地域は、基準が一段きびしくなる
一方、生駒市などの5地域は6地域より寒いため、同じグレードでも要求されるUA値が一段きびしくなります。5地域でHEAT20 G2を名乗るにはUA値 0.34 が必要とされ、G1でも0.48が目安です。
ここで注意したいのが、「断熱等級6(UA値0.46)」を満たしていても、5地域ではHEAT20 G2(0.34)には届かないという点です。同じ「等級6の家」でも、建てる場所によってHEAT20での評価が変わる。カタログの数値だけを鵜呑みにせず、「自分の建築地の地域区分では、その数値がどのグレードにあたるのか」を確認することが、後悔しないコツです。判断に迷ったら、無料相談会で建築予定地の区分から一緒に確認するのが確実です。
結局、奈良ではどの断熱等級を目指せばいい?
「等級7が最高なら、等級7にすべき?」と考えたくなりますが、必ずしもそうとは限りません。等級を上げるほど建築費(初期費用)は上がり、窓を小さくして光を犠牲にする設計にもなりがちです。大切なのは「暮らしの快適さと、かけるコストのバランス」です。
奈良(5〜6地域)の気候で、暖房を1台に抑えながら家中を暖かく保ちたい——そうお考えなら、ひとつの現実的な目安になるのが断熱等級6(HEAT20 G2/UA値0.46前後)の水準です。冬の朝も室内が概ね13℃を下回りにくく、暖房エネルギーも旧基準の家の半分程度。「真冬にエアコン1台で家中あったかい家(UA値0.46・HEAT20 G2)」を、無理なく実現しやすいラインだからです。
楓工務店の考え方も、いたずらに数値の高さを競うのではなく、この「快適・健康・省エネのバランス」を重視するものです。窓を減らせばUA値は上がりますが、明るさや風通しという暮らしの豊かさは下がります。たっぷりの窓で明るく風通しのよい家を、高い断熱性能とセットで実現するのが理想だと考えています。断熱等級だけでなく、家の隙間の少なさを表す「隙間がほとんどないから花粉もPM2.5も入ってこない家(C値0.7〜0.8)」もあわせて見ることで、家の本当の快適さが分かります。
楓工務店の断熱仕様——等級6(HEAT20 G2)が標準ライン
参考までに、楓工務店の新築商品がどのくらいの断熱性能を標準にしているかをご紹介します(いずれも6地域の場合の目安。実際の数値は建築地・プランにより異なります)。(出典: NotebookLM「楓工務店_新築」商品別性能比較)
- ORDER(フルオーダー)/SELECT(自由設計)/TSUMUGU(規格):UA値 0.43〜0.46(HEAT20 G2=断熱等級6 相当)
- QUMIE(定額制):UA値 0.5〜0.56(HEAT20 G1=断熱等級5 相当。オプションの塗り壁仕様でG2=等級6相当まで引き上げも可能)
この断熱性能を、細部の部材で支えています。たとえばORDER・SELECTでは、建物の外側を覆う外張り断熱と、柱の間に吹き付ける「隙間なくぴったり密着する断熱材(硬質ウレタンフォーム)」を組み合わせたダブル断熱を採用。窓には、室外側は雨風に強いアルミ、室内側は熱を伝えにくい樹脂を使った複合サッシ(Low-E複層ガラス+アルゴンガス入り)を全棟標準にしています。
高い断熱等級があるから、間取りが自由になる
断熱性能の話は「冬の寒さ対策」だと思われがちですが、実は間取りの自由さにも直結します。断熱の弱い家で吹き抜けやドアのない大空間をつくると、「暖房が効かず冬は寒くて住めない」という問題が起きます。逆に、等級6(HEAT20 G2)の断熱があるからこそ、余計な仕切り壁や扉を取り払った開放的な間取りでも、市販のエアコン1台で床下から家中を暖める仕組み(ダクトレス全館暖房)が効きます。トイレや脱衣所までムラなく暖かく保てるので、廊下やドアで細かく仕切る必要がなくなるのです。
断熱等級だけで家を選んではいけない理由
最後に、注意点をひとつ。断熱等級(とUA値)は、家の性能を測る大事なモノサシですが、それ「だけ」で家の快適さは決まりません。
断熱性能は計算で求められますが、実際にどれだけ隙間がないか(気密=C値)は、一邸ごとに現場で測ってみないと分かりません。UA値がよくても隙間が多ければ、あたためた空気は逃げていきます。さらに、夏の日差しをどれだけ遮り、冬の日差しをどれだけ取り込むか(太陽の光と熱を活かして冷暖房費を減らす設計手法=パッシブデザイン)も、実際の光熱費を大きく左右します。数値のカタログ値だけでなく、「気密を実測しているか」「日射のコントロールまで設計しているか」まで含めて確認することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 断熱等級は今、いくつまでありますか?
2022年の改正で等級7まで新設され、現在の最高ランクは断熱等級7です。それ以前は等級4が最高でしたが、今の等級4は「国の最低限の省エネ基準」という位置づけです。
Q2. 断熱等級6とHEAT20 G2は同じですか?
奈良市・橿原市などの6地域では、断熱等級6(UA値0.46)とHEAT20 G2が一致します。ただし生駒市などの5地域では、HEAT20 G2にUA値0.34が必要になるため、等級6を満たしていてもG2には届きません。建築地の地域区分の確認が必要です。
Q3. 奈良で建てるなら、どの等級を目指すのが現実的ですか?
暮らしの快適さとコストのバランスから、断熱等級6(HEAT20 G2/UA値0.46前後)が一つの目安になります。暖房1台で家中を暖かく保ちやすく、冬の朝も室内が概ね13℃を下回りにくい水準です。
Q4. 等級7にすれば、必ず快適で得ですか?
等級7は最高性能ですが、その分、建築費が上がり、窓を小さくするなど設計上の制約も出やすくなります。快適さは断熱等級だけでなく気密や日射設計でも決まるため、「等級7=正解」とは限りません。予算と暮らし方に合わせたバランスが大切です。
Q5. UA値が低ければ、それだけで暖かい家ですか?
UA値は熱の逃げにくさを示しますが、実際の暖かさは家の隙間の少なさ(C値)にも左右されます。C値は現場で測らないと分からないため、気密測定を実施しているかも確認しましょう。
Q6. 断熱等級が高いと、光熱費はどのくらい変わりますか?
一般に、HEAT20 G1で暖房エネルギー概ね30%以上、G2で概ね50%以上を旧省エネ基準の家より削減できるとされています。実際の光熱費は、間取り・設備・暮らし方でも変わるため、目安としてお考えください。
Q7. 5地域と6地域、自分の家がどちらか分かりません。
市町村単位でおおむね決まっていますが(例:生駒市は5地域、奈良市・橿原市は6地域)、境目のエリアもあります。建築予定地の正確な区分は、相談会でお調べしてご説明できます。
Q8. 断熱等級は、住宅ローンや補助金に関係しますか?
関係します。ZEH水準(等級5相当)以上や、より高い断熱性能が、住宅ローン控除や各種補助金の要件になっているケースがあります。
Q9. 楓工務店の標準はどのくらいの等級ですか?
ORDER・SELECT・TSUMUGUは、6地域でUA値0.43〜0.46(断熱等級6=HEAT20 G2相当)が標準の目安です。QUMIEは等級5相当が標準で、オプションで等級6相当まで引き上げも可能です。
Q10. 中古住宅や築年数の古い家の断熱等級はどうなりますか?
2000年代以前の住宅の多くは、現在の等級4(旧省エネ基準)にも届いていないことが少なくありません。既存住宅の断熱改修(リフォーム)で性能を高める方法もありますので、必要に応じてご相談ください。
まとめ
断熱等級は「国のモノサシ」、HEAT20は「室温で語る民間のモノサシ」。奈良市などの6地域では等級6=HEAT20 G2、等級7=G3と一致しますが、生駒市などの5地域では基準が一段きびしくなります。数値の高さを競うより、ご自身の建築地の気候と暮らし方に合った水準を、気密や日射設計まで含めて選ぶことが、後悔しない家づくりの近道です。奈良で高断熱の家をお考えなら、まずは断熱等級6(HEAT20 G2)を一つの目安に、実物で体感してみることをおすすめします。
楓工務店の街かどモデルハウスでは、等級6(HEAT20 G2)クラスの家の暖かさや、エアコン1台で家中が暖まる住み心地を、実際に体感いただけます。冬の朝の室温は、数値よりも「肌で感じる」のがいちばんです。

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